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新宿人御用達 名店・名品

〔高田馬場〕手打ちうどん 和乃家(かずのや)

本格うどんを気軽に楽しめる家庭的な雰囲気の店

2013/01/18

すべての工程を手作業のみでつくる手打ちうどん

高田馬場駅早稲田口の向かい側。<br>JR山手線と西武新宿線のガードに<br>挟まれたビル1階奥にある。
高田馬場駅早稲田口の向かい側。
JR山手線と西武新宿線のガードに
挟まれたビル1階奥にある。
学生やサラリーマンが行き交う駅前の商店街に、飲食店や商店が入ったビルが並ぶ「高田馬場」。今回はこの地で60年近く商いを続けている「手打ちうどん 和乃家」さんをご紹介します。

「手打ちうどん 和乃家」は、ご主人吉田弘司さんのお母さまの吉田りんさんが昭和30年(1955)に開業した小料理店「和乃家」が前身です。当時、高田馬場の駅前には小料理店が20軒ほど集まっていたそうです。しかし、共同でビルを建てることになり、昭和53年(1978)に完成する際にご主人が修行をし、手打ちうどんの店として再出発しました。
店舗入口は3ヶ所あり、どこからも<br>出入りしやすいユニークな設計。
店舗入口は3ヶ所あり、どこからも
出入りしやすいユニークな設計。
東京で蕎麦屋はよく見かけるものの、うどん専門店は珍しかった時代。まして機械を使用せずにすべての工程を手作業でつくる手打ちうどんとなれば注目度は高く、テレビや雑誌でその強いコシやなめらかな喉ごしが紹介されました。
店内はカウンター席とテーブル席1つ。<br>温もりあふれる民芸調のつくりで心が落ち着く。
店内はカウンター席とテーブル席1つ。
温もりあふれる民芸調のつくりで心が落ち着く。
うどんを打っているのは息子の吉田真人さん。<br>女将の吉田玲子さんも厨房と客席を行き来し、<br>柔らかな接客と細やかな心づかいが魅力的。
うどんを打っているのは息子の吉田真人さん。
女将の吉田玲子さんも厨房と客席を行き来し、
柔らかな接客と細やかな心づかいが魅力的。
手打ちうどん 和乃家
■住所:新宿区高田馬場2-19-7 タックイレブンビル1階
■アクセス:JR高田馬場駅より徒歩30秒
■TEL:03-3209-4082
■営業時間:月~金曜11:30~23:30、土曜11:30~22:00、
      祝日12:00~21:00
■定休日:日曜

手打ちだからこそ得られる強いコシと透明感のあるツヤ

こねきったものは茹でたときに<br>麺の表面が透き通る。<br>喉ごしがよく、ツルツルッと入っていく。
こねきったものは茹でたときに
麺の表面が透き通る。
喉ごしがよく、ツルツルッと入っていく。
和乃家のうどんの材料は小麦粉、水、塩、片栗粉のみ。作り方はいまも機械をいっさい使いません。まず材料を混ぜ合わせて、手でこね、足で踏んで生地(玉)をつくります。そして、その生地を一晩寝かせて発酵させ、最後に延ばして切ったらできあがりです。

「手でこねる作業は一玉につき20分間くらい。手でこねてこねきる、足で踏んで踏みきるようにしないと麺にコシが出ないんですよ」と真人さん。

「うどんは手作業でこねたり踏んだりして小麦粉の粒子を四方八方に混ぜ合わせることで、弾力が出ます。コシとは麺の固さではなく、モチモチとした弾力のことなんですよね」とご主人も教えてくださいます。

「うちでは旨みを出すために片栗粉をほんの少し入れます。店によっては片栗粉を多く入れ、麺を固くすることでコシがあるように思わせているところがあります。うちの麺は茹でてから時間が経つとコシが消えて柔らかくなってしまいますが、片栗粉が多い麺は固いままです」
こねて踏んで、1日5~8玉を発酵させる。<br>コシが出た生地を延ばすには体力がいる。
こねて踏んで、1日5~8玉を発酵させる。
コシが出た生地を延ばすには体力がいる。
生地をのし棒の長さと同じくらいまで延ばす。<br>切った麺の長さは1本約1m。
生地をのし棒の長さと同じくらいまで延ばす。
切った麺の長さは1本約1m。

開業以来の出汁と心づかい、そしてやさしいお値段

さらし。モチモチの食感と小麦粉の味を<br>ダイレクトに楽しめる。<br>万能ねぎ、しょうが、大葉、おかか、うずらの卵、ごまの薬味をお好みで。
さらし。モチモチの食感と小麦粉の味を
ダイレクトに楽しめる。
万能ねぎ、しょうが、大葉、おかか、うずらの卵、ごまの薬味をお好みで。
手打ちうどんのメニューは30種以上。開業以来守り続ける方法で取った出汁を決め手として、どのメニューもお腹に染みわたる味、心がほっこり和む味、昔から変わらない味と人々を惹きつけています。
煮込み。具はダイコン、ニンジン、ジャガイモ、<br>ゴボウ、シイタケ、鶏肉。<br>野菜の甘みが溶け込んだやさしい白味噌の汁とうどんが絡み合う。
煮込み。具はダイコン、ニンジン、ジャガイモ、
ゴボウ、シイタケ、鶏肉。
野菜の甘みが溶け込んだやさしい白味噌の汁とうどんが絡み合う。
なかでも、木の器に美しく盛られた「さらし」、鉄鍋でアツアツのまま運ばれる「煮込み」は、できるだけおいしく食べてほしいという思いが伝わってくる人気の定番メニュー。「さらし」も「煮込み」も700円と安く、平成元年(1989)に消費税3%がスタートした際に定めた値段のまま、24年間値上げしていないと言います。

また、メニューには「肉どうふ」「山芋千切り」「ぬた」「こまい一夜干」「〆サバ」など、気のきいたおつまみと有名どころの日本酒も用意。ちょっとつまみながら飲んで、最後はうどんでしめるという楽しみ方をする人も多いそうです。

高田馬場の活性化のために商店街のさまざまな活動に参加

つい立ち寄りたくなる雰囲気が<br>お店のいたるところに漂っている。
つい立ち寄りたくなる雰囲気が
お店のいたるところに漂っている。
商売をするうえでこだわっているのは、「日本の伝統ある庶民の食文化を伝えていくこと」とご主人。「高田馬場戸塚料理飲食業組合」の組合長を勤めるほか、「高田馬場銀座商店街」に加盟し、高田馬場の街の活性化にも取り組んでいます。

「高田馬場で長いこと商売をして生活させてもらってきたので、この街に恩返しをしたい。いま高田馬場銀座商店街からは個人店が減っています。チェーン店ばかりが増えると街のカラーがなくなり、人々の街に対する愛着が弱まってしまうのが心配です」
高田馬場駅から明治通りまで続く、<br>高田馬場銀座商店街。<br>街灯の幕には馬の絵をデザイン。
高田馬場駅から明治通りまで続く、
高田馬場銀座商店街。
街灯の幕には馬の絵をデザイン。
高田馬場銀座商店街は毎年8月、地元の鎮守・諏訪神社の例大祭に協賛。10月には「高田馬場まつり」を開催し、早稲田通りに「機関車トーマス」を走らせて親子連れを喜ばせています。また、今年1月には商店街にLED街灯を新設。夜になると薄暗かった通りが明るくなり、街としての一体感が出たと好評です。

「和乃家」は高田馬場銀座商店街の入口に位置。新たな商店街の灯りがいつまでも未来を照らすように、この地で愛されてきた手づくりの味をずっと伝えていってほしいものです。どうぞ、本格手打ちうどんの味を確かめに訪れてください。一度食べたら何度でもふらりと行きたくなりますよ。