地元暮らしをちょっぴり楽しくするようなオリジナル情報なら、新宿区地域ポータル「しんじゅくノート」!
文字サイズ文字を小さくする文字を大きくする

新宿区地域ポータル「しんじゅくノート」

神楽坂の達人

ねこの郵便局というなまえのお店/福本高明さん

猫の街にあるかわいらしい雑貨屋さん

2013/11/20

オーナーの福本高明さん
オーナーの福本高明さん
神楽坂といえば…?
石畳の路地裏があるまち、風情ある和のまち、坂が多いまち…などいろいろなイメージがあります。
そして、「吾輩は猫である」で有名な夏目漱石ともゆかりがあり、猫の街として有名な神楽坂。そんな猫の街に「ねこの郵便局というなまえのお店」はあります。

今回はオーナーである福本高明さんにお話を伺いました。


お店ができるまで

―最初にこのお店を始めるまでの経緯を教えてください。

普通のサラリーマンから起業して広告業をやっていたのだけど、やっている中でカレンダーを一年に一回作って生活できたらいいなって思ったんです。結局それは実現していないんけどね(笑)。その時に版画家である大野隆司(おおのたかし)さんに出会ったんです。

もともと芸術系の収集が好きで。神田神保町の蒐堂(あかねどう)というお店に版画家の大野隆司さんの作品があって、気に入って買ったら、お店の方が紹介してあげるよって。そこから一緒にカレンダーを作り始めました。最初は大野隆司さんのねこグッズだけでしたが、大野隆司さんにねこ作家のお友達が増えて…。

先生たちが発表とか企画をしたいということになって、私がアートキャンプという企画をしたのが、ねこ企画のはじまりでした。そこからどんどんねこの企画が増えてきました。去年は全国37会場で開いているんですよ。

―全国で37会場も!?

お店がまだなくて卸を中心にしていて。家に商品をぎゅうぎゅうにしてやっていました。
そしたら、今年の正月明けに、春までに事務所を出なきゃいけなくなってしまって。
神楽坂が好きだったので物件をちょっと探していたら今の場所に出会ったんです。で思い切って今年の春に開業しました。

―いままで定まった場所にお店はなかったのですか?

そう。一回もない。ずーっと卸と催事を中心にやっていました。結構無計画でしょ?
あんまり長く計画を練らないたちで、まあ結果オーライで今まで来ました(笑)。

「切手は貼りましたか?」

―福本さんは切手が好きで、それがお店の由来にもなったとのことですが…

小学生の時から切手収集をしていて、一時空白の期間もあったけど、ここ2、3年かなあ、またかわいいなあと思って始めました。それで、まとめて買っちゃった切手があって、それをどうしようかなあって。貼ったらきれいだけど、自分で貼るのはなあって思って(笑)。

お客さんに貼ってもらったら、楽しいんじゃないかと思って(お店に)貼ってもらうようになりました。

―私も来店したとき好きなところに貼ってくださいって言われてびっくりしました(笑)。

お客さんが選んで貼った切手たち。
お客さんが選んで貼った切手たち。
そうそう。お客さんはみんなびっくりして(笑)。好きなものを選んでくださいって言うと、大体の人が(どの切手を貼るか)すっと選べないで時間をかけて選んでます。
定期的に変わった切手や、特別だなってものも、ちょろっと混ぜたりしていますよ。

―このお仕事をやっていてよかったと思うことはなにかありますか?

自分が見つけた作家さんが有名になったり、売れるようになったりすると、やっぱりうれしいよね。
版画家の大野隆司さんも僕と知り合ったころはねこグッズは何もなかったけど、それが今では、うちの商品を手掛けてくれたり、ねこグッズから有名になったり…。そういうのはうれしいね。

様々な人から愛されるお店

―ここにくる人の客層は…?

隣の亀井堂さんからふらっと見に来る人、カップル、近所の方、おじさんが一人でもくるよ(笑)。
切手を眺めて、集めてみるかーってつぶやいてたり・・・。
近所のお年寄りものぞいて行ったり、ご近所とも仲良くやっています。

―常連さんも多いですか?

常連さんもいるよ。幼稚園の男の子。空手をやっていて、その帰りにお店の前を通って、寄っていくー寄っていくー!ってお母さんに言ってたり(笑)。あとプレゼントを買いに来る小学生とか。もうちょっと子供が増えたら楽しいなって思うよ。駄菓子屋さんみたいな感じで気軽に来てくれたらうれしい。

遊び心いっぱいの店内には…

―内装がすごいかわいらしくて…これは全部福本さんが?

そうそう。内装は普通なんだけど、商品と備品で。お店を開くためにオークションで集めたり、運命の出会いで、ただでもらったり、近所のおばあちゃんがいらないからって持ってきてくれたり。

―あのポストとかもかわいいですよね。

あのポストの中はみましたか?あそこは郵便局長室なんですよ(笑)。僕は郵便局長じゃなくてオーナーで、お店を手伝ってくれる娘とかは局長代理なんです。ちゃんと郵便バッチもしてるでしょ?あれは今使われてない昔の郵便局員の制服のボタンで…。郵便グッズに興味がある人にも喜んでもらえるし。

―ねこつながりで来る人だけではないんですね。

そう、郵便つながりで来る人もいて。今は、カメラ女子と切手女子と猫グッズマニアを呼び込んでる感じです。でも、猫グッズマニアの人が切手集めようかなあ、なんて言っていたり…(笑)。まあ、そのへんが切り口になってますね。業態的には他にはあんまり見られない形だよね。
郵便ポストを開けてみると…?
郵便ポストを開けてみると…?
郵便局長さんが!
郵便局長さんが!

―お店は不定休とのことですが、お店をやってない日は催事を?

そうですね。催事の日はお休みにしています。だからホームページでは、午後は開くよとか、夜市やりますとかを告知しています。

―じゃあ開いていればラッキー!って感じですね。

そうそう。だから来て開いてなくてがっかりしちゃう人がいるかもしれないから、バス停を作ったの。
写真だけでも撮ってもらえればと思って。

―催事だけでなくて、お店でもなにかイベントみたいなものはしていますか?

不定期でたまにキャンペーンしてますよ。あ、雨の日は1割引でやってますよ。
荷物が中にあるでしょ?晴れの日は外に出してるんだけど、雨の日だと見づらいから1割引にしているんです。

―では、お店のおすすめポイントを教えてください。

時計がなる時間に来店すると、お得ですよ。外と中にいる時では音が違って、共鳴するので音がすごくきれいなんです。
お店の中は見ているだけで楽しいと思うから、じつは面白いものが隠れていたり、貼ってある切手もいっぱいあるし。
一人で来て、奥にある猫本を読んでいるのもいいけど、二人で来るともっと楽しいと思うよ。「吾輩は猫である」も上下巻用意してあるから読もうと思えば全部読んでいってもいいけどね(笑)。

今後は・・・。

―見ているだけでほんとに楽しい店内ですよね。最後にこのお店をずっと続けていたいと思いますか?

大家さんが嫌って言うまで死ぬまでやっていこう思います(笑)。
10年後に定着していて、このお店だけで食べていけたらなあと。
10年後お客さんも定着していて、あの常連の男の子も来てくれているかわからないけど、
彼女のプレゼントぐらい買いに来てくれたらなってそういう楽しみもあるよ。

まあ、楽しいお店であればいいかなあと思っています。実際に見て、体験しないとわからないものってあるから、迷っているならこのお店に入ってほしいなあ。入って損はないと思うから。
お店の前にはバス停が…
お店の前にはバス停が…
お客さんに大人気!猫のしっぽ付き椅子!
お客さんに大人気!猫のしっぽ付き椅子!

思わぬ出会いがいまにつながっている福本さん。
深く考え込まず、猫のようにふらっと気ままな人生もありだなと思わせてくれました。

みなさんも、近くまできたら覗くだけでなく、立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
あたたかく、時間を忘れてしまうような空間がそこにはあります。
運がいいと通い猫のキジ太郎に会えたり、ねこじゃらしで戯れることもできるようですよ。

しんじゅくノート学生記者 木村早祐美


ねこの郵便局というなまえのお店
住所:〒162‐0805 新宿区矢来町162中村邸A号
TEL:070‐5517‐4125
定休日:不定休
営業時間:基本的に12時~18時OPEN
HP:http://4125.jp