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新宿ものづくりマイスター 技の名匠

【金属原型彫刻】 坂本 国雄さん

平成21年度認定

2014/12/25

カンザシ造りの技を受け継ぐ金属彫刻のマイスター

金属原型彫刻 坂本国雄さん
金属原型彫刻 坂本国雄さん
 その昔、金属の簪(かんざし)の飾りを鏨(たがね)を用いて手彫りした江戸飾り職の技術を受け継ぐ金属原型彫刻師 坂本さんを神楽坂の工房にお訪ねしました。現在、その技はアクセサリーなどの金属原型製作に活かされ、国内外の一流ブランドのみならず、個人、団体、官公庁から多くの依頼を受けています。

「サカモト彫刻」代表。アクセサリー、徽章、記念品、メダル、バッチなどの金属原型を手彫りする職人。2010年には世界柔道選手権大会の金・銀・銅メダルの原型を製作。
1956年(昭和31年)生まれ。1983年 新宿区神楽坂にサカモト彫刻を設立。2009年 新宿区新宿ものづくりマイスター(技の名匠)認定。2011年 東京都東京マイスター(東京都優秀技能者)認定。

ものづくりに魅力を感じ サラリーマンから職人に

……金属のアクセサリーやメダル、社章、勲章などの原型を造る仕事「金属原型彫刻」の仕事に就かれたきっかけをお教えてください。

 たまたま近所に早川さんというメダルを造る職人さんがいて、ぷらぷらしているように見える。話を聞くとこの仕事は面白いと。造っているものが毎日違うから面白い、いろいろな人がきて楽しいと。

 職人に入門するには指もやわらかくて、タガネも器用に使える16~7歳くらいが本当は最適。ところが僕は20歳くらいだったので限界だったのですよ。当時、サラリーマンをしていて、会社勤めに情熱を感じなかった。早川さんの仕事をおもしろいと思い、ものづくりという仕事に魅力を感じた。職人になるのだよ、やってみるかいと言われて、やってみたいと答えたのが、この仕事のきっかけです。
タガネを使った手彫りで原型が制作されていく
タガネを使った手彫りで原型が制作されていく

仕事は遊びの延長 好きじゃなければ続かない

……苦労されたこと、なぜ続けることができたのでしょうか。

 職人が苦しいのは仕事がないとき。不況になれば一番に切られるような仕事をやっています。バブル景気全盛でも僕らには関係ない。原型があればいくらでも生産できるというわけです。景気が悪くなって、モノが売れなくなってくると、取引先は今までになかったものや新しいブランドを立ち上げる。そうすると、僕ら原型彫刻師が新しい原型を何個も造ることになります。かえって不景気になる方が、出番は多くなってきます。

 僕にとって仕事は遊びの延長のようなものです。この春は世界の十人のデザイナーが競うというコンペのメダル原型を依頼されました。優勝を争ったんですよ。来るもの拒まずで難しいものものでも引き受けてしまう。40年近くもやっているけど、好きじゃなければ続かない。気が付けば、夜遅くまでやっていることもあります。
道具のタガネも手作り 道具が作れない様では一流の職人とは言えない
道具のタガネも手作り 道具が作れない様では一流の職人とは言えない

粋な神楽坂でしゃれた原型造り

……マイスターに認定された経緯、新宿区でご活躍していることについてお聴かせください。

 うちの女房がたまたま区報をみてマイスターの申請をしたんです。最初自分はことわったのですよ。職人は縁の下の力持ちだから名前なんか出すものじゃない、格好つけちゃっていやだと。結局、8月の暑いときに作品を持ってプレゼンに行ったら、すでに6人は決まっていて、何が何だかわからないうちに7人目のマイスターの認定をいただきました。

 ここは場所のメリットがありますよ。何しろ粋な神楽坂ですから。この地でブランドの洒落た原型を造っている。ここを離れたら注文がこなくなるような気がするんです。神楽坂を離れる気はないです。
作品例 新宿ものづくりマイスターの徽章(左)、メダル(右)<br>
作品例 新宿ものづくりマイスターの徽章(左)、メダル(右)

職人もウィスキーも熟成に30年

……メッセージや後継者のこと、凝っていることなどをお聴かせください。

 日本の品物はすごく手が込んでいて100年は持つんです。ところが、その仕上げに必要な七宝やダムシンなどの職人が限りなく少なくなってきている。なぜそうなるかということを、学校の先生がわからないんですよ。そういうことを教えられないから、今の子ども達は伝統を知ることができない。日本語には「歯が立たない」とかの職人たちの言葉が息づいているのですけどね。

 息子が後継者でいます。今の時代にあったものをやっていくしかない。自分で考え、時代に合わせ、最先端のものを取り込んで成長してくれと願っています。

 シングルモルトウイスキーが好きなんですよ。その中でも何万本に一本で生まれるという逸品が実に味わい深い。モルト原酒は樽の中で熟成するのに10年、20年かかる。すべての樽が成熟するとは限らない。20年くらいでまろやかになってくる。それから更に30年から40年と最高峰のウィスキーができる。職人もモルトの熟成みたいなもので、5年10年では物足りない。職人も熟成に30年ですよね。
「金属原型彫刻を学ぼう」体験型教室より (2014年11月撮影)
「金属原型彫刻を学ぼう」体験型教室より (2014年11月撮影)

……サラリーマンから職人になったという坂本さんにインタビューさせていただきました。一見、ちょっと強面にみえて、筋の通った職人。将に仕事一途の「THE 職人」。似たような名前のウィスキーを愛好されています。しかし、仕事は繊細、息子さんには自主性を柱に接してらっしゃる良いお父さん。仕事が好きで堪らないと話も弾みました。お忙しい中、お時間を頂戴し、ありがとうございました。

 坂本さんが講師を務めた新宿区主催新宿ものづくりマイスター技の名匠に学ぶ「金属原型彫刻を学ぼう」体験型教室も取材させていただいています。その様子はこちらからご覧いただけます。
金属原型彫刻を学ぼう ~体験型教室~(新宿チビたび散歩)
金属原型彫刻 坂本国雄さん
金属原型彫刻 坂本国雄さん
坂本 国雄 (さかもと くにお)さん
業種: 金属原型彫刻
工房: サカモト彫刻
住所: 〒162-0807 東京都新宿区東榎町12-4 鳥畑ビル1階
電話: 03-3235-0226
FAX: 03-3235-0286
お電話でのお問合せは13時~18時の間で お受けしております。お越しの際はお電話にてご連絡ください。
ホームページ: サカモト彫刻 Pure Metal
写真・文 しんじゅくノート編集部 取材撮影 2014年12月12日

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