新宿ものづくりマイスター 技の名匠
この道57年 東京手描友禅の熟練マイスター
東京手描友禅 飯島武文さん
風鈴の音色が涼やかに響く、緑豊かな都立戸山公園に近い工房にお邪魔しました。着物・帯などの糸目友禅・ローケツ染などの彩色を得意とし、古典文様にモダンな色調のぼかしを加えた江戸風のわびさびを表現した逸品を手がけられています。東京手描友禅の重鎮マイスター飯島武文さんにお話をうかがいました。
1958年より岡川紫延氏に師事、1968年に独立、1994年(国)伝統工芸士認定、2009年新宿ものづくりマイスター技の名匠、2011年には東京都知事感謝状と日本伝統工芸士会功労者賞を受賞、多数の染芸展・秀作コンクールなどで受賞・入選。現在、東京都工芸染色協同組合にて副理事長・経済部長、(国)東京手描友禅伝統工芸士会にて会長を務め、新宿区染色協議会会員でもあります。
仕事に入るまで一度も見たことがなかった
……江戸東京ならではの粋で繊細な図柄を手で描き、洒落た色調に染めた「東京手描友禅」。この仕事に就かれたきっかけを教えてください。
出身地の長野県で近所の方から息子さんが東京でこういう仕事をしているからやってみないかとお声を掛けられました。絵が好きだったこともあり、やってみようかと決めました。この仕事に入る前にすこし話を聞いたことはあるのですが、実は一度も見たことがありませんでした。
今年でこの仕事に入って57年になります。入門した当時は模様師と呼ばれていました。東京手描友禅という名称は、1980年(昭和55年)に国の伝統工芸品に指定される際に東京都工芸染色協同組合の先輩たちが話し合って決めたそうです。組合員以外では今でも江戸友禅としてやっている人もいます。
友禅というと京都の京友禅が良く知られています。他には石川県の加賀友禅でしょうか。東京にこういう仕事があったのですかと、ときどき言われることがあります。
友禅挿しの筆(左)と下絵に使用する筆(右)
いろいろな方とお話ができ、自分も勉強に
……マイスターに認定された理由、変化したこと、新宿区でご活躍していることについてお聴かせください。
新宿区は染色が地場産業です。たまたま運良く新宿に住んでいたものですから、新宿区の方からお声がかかりました。長年の染色の仕事を認めてもらい、回りの方々に推薦していただき、マイスターに認定いただいたのではないでしょうか。認定をいただいてから、新宿区で行う催事や他のイベントがあるときに声がかかります。また、デパートで実演することも多くなってきました。新宿区の催事やそんなこんなで、いろいろな方とお話ができ、自分も勉強になります。
都立戸山公園に隣接した戸山ハイツに工房を構えていますが、住めば都で本当にここは良い場所ですね。緑は多いし、なにより、染色に関連した職方さんが高田馬場から落合、中野にかけて多くいらっしゃるので、仕事の面でも便利です。
下絵付け お客様の好み・注文に応じた文様を描く
お客さんに救われて、これまでやってこれた
……ものづくりの喜び、苦労したこと、なぜ続けることができたかをお話ください。
一番の喜びはお客さんに注文された作品を納品したとき、すばらしいと喜んでいただく笑顔ですね。これはどんなときも忘れることができません。「よしまた頑張ろう」という大きな励みになってきます。
24~25年ほど前に着物関係の問屋さんがかなり倒産し、廃業された職人の方も大勢いらっしゃいます。たまたま私はお客さんに救われて、これまでやってこれました。
桜花の帯(左)と仙人草と竹の着物(右)、賞状(上)
周りから認めていただき、今の仕事は本当に楽しい。
……後継者、これからのこと、メッセージなどがありましたらお聴かせください。
後継者といえば、こういう仕事をしたいという人はいらっしゃるのです。ただ、今は消費者が少なくなって困っています。着る人が少ないのが悩みです。
日本が大好きなイギリス人の先生に組合で講演をお願いしました。日本に来てからいつでも着物、学校に講義に行くときも着物という先生は、「何で日本人は友禅というりっぱな着物を着ないのだろう」と、また、別の先生からは「着物を枠に縛り付けてしまっているのではないか」というお話もいただきました。もっと楽しく気軽に着物を装うようになると、着物の良さが広がって行くのでしょうか。
家内とも話すのですが、今の仕事自体は本当に楽しいです。周りから認めていただいて、賞をもらったりもしました。後、何年できるかわかりませんが、需要が増えることを願っています。
体験型教室「東京手描友禅を学ぼう」で作成するふろしき
……お若いときには少年野球を指導され、今は早朝野球の審判をされているとお聴きました。また、組合などで会長や副理事もされており、皆さんから慕われる頼りがいのある方というのが、お話をさせていただいて感じられました。
新宿区の体験型教室「東京手描友禅を学ぼう」では講師を務められます。こちらも取材させていただきますので、先生としてのお姿も拝見できること、大変楽しみにしております。
飯島 武文 (いいじま たけふみ)さん業種: 東京手描友禅
工房: 樺延工房
住所: 新宿区戸山2丁目33-1334
電話/FAX: 03-3203-8755
ホームページ:
東京手描友禅 飯島武文(国)伝統工芸士 写真・文 しんじゅくノート編集部 取材撮影 2014年10月9日
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