インタビュー [あの人に聞きたい!新宿子育て応援団]
小原聖子(ゆったりーの運営委員会代表)2008/03/01
小原聖子(ゆったりーの運営委員会代表)
「ゆったりーの」は廃園になった区立保育園の跡地をそのまま利用して、平成16年10月にオープンした子育て支援施設です。
区が施設の提供と活動の支援を行い、区民が運営するという新しいスタイル(区民と区の協同モデル事業)をとり、その活用内容や活動方法は区民のワークショップでアイディアを出し合い、決定したそうです。
親子の居場所づくりと子育て支援団体の拠点機能を併せ持ち、地域の親子にとってなくてはならない存在になりました。
その誕生に尽力された小原さんは3児の母として子育て真っ最中(昨年12月に3人目を出産!)、同世代ママ達のリーダー的存在です。充実した子育てライフを実践されている小原さんに、子育て支援についてのあれこれや、ゆったりーのにかける思い、今後の展望などについてお話を伺いました。
市ヶ谷商業高校で臨時に開いているひろばにてインタビューしている様子
--ゆったりーのを立ち上げたきっかけは?
最初からこういう場所を作りたくて始めた訳ではなく、もともとは廃園になった保育園に通っていた保護者だったんです。
廃園反対運動をしているうちに成り行きで・・・。要は財政難だからっていう廃園の理由に納得がいかず、他のお母さん達と一緒に署名を集めたり、区会議員さんにお願いしに行ったりと、色々な活動を3年くらいやったんですけど、とうとうなくなっちゃうってことになって。
その説明会の中で「跡地はどうなる?」って質問が出て、「老人か子どものための福祉施設に使う」っていう保育課長さんの話に「子ども用の小さい便器や手洗い場とかを老人用に換えるんだったら、コスト削減にならないから、港区にある『あい・ぽーと』みたいなものにできないですか」って提案したお母さんがいたんです。
で、後になって「『あい・ぽーと』みたいって、具体的にどんなところなのか聞かせてほしい」、って内々に呼ばれて。
「土・日のどちらかは利用できて、3歳以上もOKで、自由に食べたり飲んだりできるスペースもあって・・・」って、いろいろ意見を言ったら、「役所で作るのは難しいけど、あなた達ならできるかもね」って感じになって・・・。
誰かの家でもファミレスでも地域センターでもない、ママ達が子どもを遊ばせながら、お茶をしながら話し合いができる、そんな場所が欲しいってみんなが思っていました。だから、こんなのが出来たらいいねーって盛り上がっていったんです。
でも跡地は区の財産だから、区としてはどうしたらいいか、ちょうど区長なったばかりの中山さんが何か子育て支援をやろうとしていたところだったのか、協働モデル事業という形になりました。で、なんとなく代表のお鉢が私にまわってきて(笑)、1年くらい区民のワークショップをやって、今のゆったりーのが始まったんです。
インタビューの頃のひろばの様子。年々変化があるそうです。
--小原さんのようなお母さんがいなければ、ゆったりーのはできていなかったかもしれませんね?
廃園反対運動を通して出会った、いろいろな父母の会の方達や、新宿子ども劇場さんとか、戸山遊び場さんとか、多くの方に後押ししてもらいました。
それまで仕事のことばかり考えていたのに、子育てって面白いなって気付かせてもらって。立上げはゼロから会社を始めるのと同じようなところがあるし、何より自分たちの活動場所が欲しかったから、やりがいがありましたね。
--自分たちの活動場所を見つけるって、なかなか出来ないですよね。
そう、サークルやりたいって人はたくさんいると思うけど、やる場所がない。ゆったりーのに来られる人は地域的に限られてるから、他にも活動場所ができれば区内に元気なお母さんが増えますよね。
「何かをやってあげるところばかりを作るのではなく、自分で何かをやりたい人が活動を行いやすいようにしてくれるのが本当の子育て支援なんです」、ってことをお役所に伝える活動もしています。
そうそう、上の子どもの妊娠中に「区長と話す会」に行ってみたら、年配の方ばかりだったことがあって。区長さんに「今はお腹にいるからいいですが、出産したら、来ようにも託児がなければ来れません。託児がないのに、若い世代が来ないと批判されるのは云々・・・」って話したら、何回かに1回は託児付になりました。何かをやろうと思ったら必ずこうした壁にぶつかるんです。
居心地のいい場所は作ってもらうではなく、自分たちで作っていく。そのためには意見ははっきり言わないとね。
--ゆったりーのでは今までどんなイベントを?
お母さんも子供も楽しめるようクリスマス会にジャズライブをやったり、 お庭で花火をやったり、サンマを焼いたり・・・。ボディペインティングや、美容師さんに来てもらって子どものヘアカットも。
家ではなかなか出来ないことをやっています。もし自分が区の職員の館長だとしたら躊躇してしまうことも、館長ではないから「やっちゃえ!」って出来る(笑)。そこを意識して大事にしています。ゆったりーのでは今までどんなイベントを?
小原 お母さんも子供も楽しめるようクリスマス会にジャズライブをやったり、 お庭で花火をやったり、サンマを焼いたり・・・。ボディペインティングや、美容師さんに来てもらって子どものヘアカットも。
家ではなかなか出来ないことをやっています。もし自分が区の職員の館長だとしたら躊躇してしまうことも、館長ではないから「やっちゃえ!」って出来る(笑)。そこを意識して大事にしています。
あと、ゆったりーのの庭にはカエルが出るんですけど、今の子ども達は見たことがないから、過剰に反応してシャベルで叩いたり、本気で投げつけたりしちゃうの。
オモチャとの違いが分からない。「死んじゃうよ」って言っても「死んじゃうって何?」って。生き物が死んでしまう場面に出会ってないから、説明するのも難しくって。庭で遊びながら、いろいろなことを体験していってほしいですね。
--今後はどのようなことを?
何かイベントをする時に、もっとみんなで一緒に企画して分担してやっていきたいなぁって思っています。こちらで全部手配して、申し込みだけして参加してもらうっていうのではなくってね。
だから、どんな小さなことでも何かやりたいことがあったら一度相談してほしいです。こちらも材料、機材、多少の予算でお手伝いできることがあるかもしれませんから。
あと、キルトやフラワーアレンジメント等、何か特技のあるお母さんが「私、コレできまーす」って、みんなに教えてくれたりとか。託児スタッフの充実を含めて、そういうことを応援できるようにしたいです。
個人的にはスパリゾートハワイアンズツワーがやりたいの。人数が集まったら、もしかしたら旦那様が旅行会社にお勤めってお母さんがいるかもしれないし(笑)、バス貸切って、大部屋使えるようになって、子どもは交代で見る、とかね(笑)
夢はいっぱいあるから、みんなで一緒になって盛り上げていけたらいいですね。
--まだ、ゆったりーのを利用したことがないお母さんに何かアピールを・・・。
小原 ここは子どものためだけではなく、半分はお母さんのための施設であることが売りなんです。
カフェでお茶も飲めますし、土曜日もやってるし、地域のお母さんがスタッフをやってるから色々な情報も聞けますよ。6歳までオッケーだから2人目以上の方にもお勧めです。まずは一度来てほしいですね。
でも、たまに温泉と間違えられるから、名前を変えたほうがいいかしら(笑)