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神楽坂のツボ

見て、触って、感じるアート~その3~

絵画教室 サルビアアトリエ

2013/03/22

思わず足を止めてしまう入口

アトリエの入り口
アトリエの入り口
 地蔵坂を上がると、そこにはまるで絵本の世界から抜け出してきたようなかわいらしい一軒の家があります。そこは『サルビア』というアトリエでした。今回はそのアトリエと、そこで開かれている絵画教室を紹介したいと思います。

遊び心のあるアトリエ内

足元にもかわいらしい絵がありました。
足元にもかわいらしい絵がありました。
 アトリエで絵を展示しながら、絵画教室を開いていらっしゃるのは渡辺幸子さん。渡辺さんは美術教師だったお父さんの影響を受けて、絵を描き始めました。「絵を描くと、生き生きとして次の日の活力になる」とおっしゃる渡辺さんのアトリエはまるで家の中全体がアート作品のようで、都会の中にいることを忘れるような不思議な世界でした。
 窓から見える景色も自分の気に入る景色にしたいということで、外に見える木にも遊び心のある飾りがかけられていました。ふと足元を見ると、そこにもかわいらしい鳥や蝶の絵が描かれていて、見ているだけでわくわくします。
渡辺さんが描かれた絵の一部
渡辺さんが描かれた絵の一部
渡辺さんお気に入りの自画像
渡辺さんお気に入りの自画像
 「渡辺さんの一番のお気に入りの作品はなんですか?」と伺ったところ、少し迷われた後「これは昔、もっと若いころに描いたの。50代くらいかな。自分で(自分を)描いて、今度60代になった時に顔だけ変えたの。それでまたもっと歳をとったらまた描きなおそうと思っているんですよ」といって自画像を見せてくださいました。
 作者と一緒に歳を重ねていく絵。描きなおされるのが楽しみな作品でした。
自画像の前での一枚。
自画像の前での一枚。
 アトリエ内にはタンポポの絵が多く飾られていました。渡辺さんは戦時中福島に疎開されていたそうで、「冬が寒いので春を待つんですよ。たんぽぽが咲き出して春になると嬉しくてね」というお話がとても印象に残りました。
 暖かい色使いでタンポポが力強く咲く姿が描かれている作品は、こういったお話を聞いた後にみると何か考えさせられます。

アトリエ内で開かれる絵画教室

アトリエの中にはタンポポの絵がたくさん飾ってありました。
アトリエの中にはタンポポの絵がたくさん飾ってありました。
 『サルビアアトリエ』の絵画教室は子どもから大人まで誰でも通うことができます。こどものクラスと大人のクラスで別れていますが、「寺子屋式」に行われる教室をもう50年間も続けているそうです。「今では子どものころに通っていた人が、自分のお子さんを連れてらしたりするんですよ。孫のようなものでかわいくてね」と長く続けられているからこその体験も。
 「好きなものを描いて、自分で磨いていって、それを褒めてくれるということは文化活動としてはいいきっかけになると思う」とおっしゃるように、サルビアの絵画教室では「正解の絵」を描くのではなく自分の気持ちを素直に絵に表現して、それをお互いに認め合い、次の絵を描くエネルギーにすることを大切にしているそうです。
 「子どもは光だ」という渡辺さん。昔と比べて「言われたことをきちんと描ける子ども」が増えたと感じているそうですが絵を描く環境を作って、子どもが描いたありのままの絵を褒めることで生き生きしてくると話してくださいました。
 絵画教室は月曜日と金曜日を除く全曜日で開かれています(要電話確認)。アトリエはいつでも自由に見学することができるので、都会に佇むちょっと不思議な空間にぜひ足を運んでみてはいかかでしょうか。

しんじゅくノート学生記者 鈴木汐莉
絵画教室 サルビアアトリエ
 住所:東京都新宿区袋町21
 電話番号:03-3260-6035