新宿ものづくりマイスター 技の名匠
住宅や店舗などのキズを消す 魔法使いのようなリペアのマイスター
内装木質・アルミ建材等補修 田島靖教さん
株式会社バーンリペアの新宿ものづくりマイスター技の名匠 田島靖教さんにお話しをお伺いしました。住宅や店舗などの内装木質やアルミ建材などのキズを補修する「技の名匠」です。所属されているバーンリペアは全国展開しているハウスメンテナンスの企業です。新宿区に本社がありますが、作業風景を拝見するために中野区にある東京センターでお話と撮影をさせていただきました。
株式会社バーンリペアに所属。
1974年(昭和49年) 生まれ。
2001年(平成13年) 株式会社バーンリペアに入社。
2005年(平成17年) 補修スタッフリーダーに昇進。
2012年(平成24年) 補修方法の開発ならびに後進の指導に務める。
2015年(平成27年)1月 新宿ものづくりマイスター「技の名匠」に認定。
面接で仕事内容を聞き、楽しそうだと直感した
……仕事の内容、この仕事に就いたきっかけを教えてください。
施工中や生活で発生した木製のフローリング、外壁、アルミ製の玄関などの美観を回復する仕事です。どこから見てもわからないように仕上げることができます。補修は大掛かりな交換や工事を必要とせず、最小限の範囲で短時間、建物へのダメージも少ないという特徴があります。交換で発生するゴミも出ません。
バーンリペアが3社目になります。夢だったギター作りの学校を卒業し、ギター製作の会社に入りましたが、景気が悪くなり、また身体を悪くして辞めてしまいました。2社目は情報処理の分野で仕事は楽しかったのですが、手作業の仕事が好きで転職しました。バーンリペアを見つけ、面接で仕事内容を聞き、これだと思いました。自分でも出来るのかと不安になるのが一般的らしいのですが、直感的に楽しそうだと思いました。学校にはギターリペアという科目があり、不安に思わなかったのかも知れません。
リペアの道具の一部 塗料、サンドペーパー、キズの充填・成形作業に使用するツールなど
補修はお客様の心の傷も直せる感動を与えることができる仕事
……苦労されたこと、続けることができた理由、内装木質とアルミ建材などの補修の魅力などをお聴かせください。
先輩の仕事を見ていると、自分にもできそうだと思っていたのですが、実際は想像以上に難しかったです。人によって、また、状況によってやり方が変わり、自分で考えていくしかないのです。できなかったことが辛くて仕方なかった。それに現場での作業なので、直らなかったら帰れません。日々練習しました。また、建築の知識もまったくなく、勉強を重ねて補修以外の作業も段階的に覚えていきました。
感動を与えることができる仕事は少ないと思います。床柱を新築の家に再利用した際は、古い溝にピッタリ隙間なく木材を埋めて表面を削り、塗装して仕上げました。また、引っ越し早々にキズを付け、毎日そのキズを見ながら生活するのかと気に悩んでいたお客様は、補修を行うと顔が晴れやかになり、魔法を見ているようだとおっしゃっていただきました。補修の仕事はお客様の心の傷も直せるのだと思いました。
床柱の補修 補修前、溝に木材を充填し表面を加工、補修後 (左から順に)
※写真提供 株式会社バーンリペア
認定されて内面の変化が大きい、良い意味のプレッシャーに
……マイスター認定された理由、認定されて変化したこと、新宿区でご活躍されていることについてお話しください。
補修対象物の素材・日照などの周囲の環境の違いによって変わってくる作業方法を自分なりに考えて技術の向上に努めてきた、後進の育成にも力を注いできたからだと思っています。認定されて内面の変化が大きいと思います。技術の向上、後進の育成も前より強く意識するようになってきました。良い意味のプレッシャーになっています。後輩や他のメンバーが自分と同じ、またそれ以上にできるようにするのが自分の役割で、熟練を要する技術を効果的に習得できる仕組みを考えていきたいと思っています。
新宿区というと日本の首都東京の所在地で、その東京を代表する地域であると言えると思います。その新宿から認定されたことが大変光栄です。リペアの認知度はまだ低く、“大切なものを永く使い続ける”というリペア文化をより広く根付かせることができればと思います。
木材のキズの補修例 充填剤を溶かしてキズを埋める。その後、仕上げを行い、新品同様に補修する。
リペアは天職かも
……ご自身の希望、後輩に向けたメッセージなどがありましたらお聴かせください。
上海万博で仕事をしたことがあり、海外の大都市での仕事にも興味があります。また、多くの人を効率よくレベルアップさせるには良い教育者が重要。会社の拠点をたばねるリーダーには職人肌の人も多いのですが、自分もレベルアップし、拠点も育つよう、後輩達にはロジカルに考えて説明するという考え方を身に付けて欲しいと思います。
家にはギターが10本以上あります。暇があれば弾きたいと常々思っていますが、子供の育児に手間がかかり、自分の時間は諦めています。それでも、前の休みにはなんとか時間を確保し、ギターをひたすら磨き、弦を張り替えました。手は腱鞘炎になりかけましたけどね。ギター作りの学校にはギターリペアという科目がありますが、実はこの科目だけ成績が悪くて嫌いだったんです。ですが、リペアが仕事になり、突き詰めてやってみるとすごく楽しいと感じました。リペアは天職かも知れませんね。
株式会社バーンリペア エントランス
※写真提供 株式会社バーンリペア
……バーンリペア社内で「王子」のニックネームを持つ田島さん、ハンサムなイクメン(子育て男子)でした。後々、お子さんにギターを教えている姿が目に浮かびました。また、ギタークラフト科を卒業後、転職してこの道に入ったという異色の匠です。言葉を噛みしめるように話すその姿には、自分が獲得した技術に対する自信とこれからの技術追及に臨む闘志がうかがい知れました。
“大切なものを永く使い続ける”というリペアを広げて行きたいというお話を伺った際に、エコロジーや環境に配慮という言葉でひと括りにできない、“物を大切にする”和の精神に通じる言葉だと思いました。これまで、着物、足袋、楽器、鞄、靴など、新宿ものづくりマイスター技の名匠の皆さんから、「良いモノを選ぶ、そして長く使う」というお話をお聞きしてきました。日本の匠の神髄のひとつがこのココロかも知れません。
リペアの技術探求と教育者の育成を通じて“物を大切にする”文化をより一層広げて行かれることを祈っています。
田島 靖教 (たじま やすのり) さん業種: 内装木質・アルミ建材等補修
事業所: 株式会社バーンリペア
住所: 〒162-0853 東京都新宿区北山伏町1-11
電話: 03-5227-1390 (大代表)
ホームページ: ⇒
株式会社バーンリペア 写真・文 しんじゅくノート編集部 取材撮影 2016年2月2日
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