新宿ものづくりマイスター 技の名匠
革を愛して自分だけの革製品の逸品を造り上げるマイスター
革製品製造 鮎澤 剛さん
ハンドバックなどの革製品をオーダーメイドで製造する新宿ものづくりマイスター 鮎澤剛さんにお話を聴きました。工房の看板も革、床も革。革で囲まれた神楽坂の工房にお邪魔しました。店内には鞄や小物などの革製品の展示、古いアンティークなミシンがあったりして、落ち着いたオシャレな雰囲気。好みのデザインと気に入った革で自分だけの逸品を造り上げてくれます。
1971年(昭和46年) 長野県岡谷市生まれ。1991年(平成3年) 革鞄の製作を開始。1998年(平成10年) 爬虫類専門のハンドバッグメーカーで修行し、その後、独立。2006年(平成18年) オーダーメイドの鞄工房「鮎藤革包堂」を創業。一般的な牛革素材だけでなく、オーストリッチ、クロコダイルなどの素材も扱う。伝統的な手縫い技法での製作も得意とする。2012年(平成24年) 新宿区「新宿ものづくりマイスター 技の名匠」に認定。
子どもの頃から牛革の匂いとか音とかが好き
オーダーメイドの鞄、財布、名刺入れなどの革製品を作っております。お客様に工房に来ていただいて、ご希望をお聞きし、お客様が想像している以上のものに作るのが仕事だと思っています。メンテナンスもやっており、修理のことも考えた作りにしています。イタリア、ドイツなど特徴のある牛革の他、ゾウ、ダチョウなどの特殊な素材も扱います。最近力を入れているのは気仙沼で水揚げされた「ヨシキリザメ」を鞣したシャークです。神楽坂という和の街に合う柔らかい素材です。
子どもの頃から牛革の匂いとか、触った時のギュッギュという音とかが好きでした。革の仕事に就きたい、営業には向いていないので、好きな作る仕事だった食べていけると思っていました。爬虫類専門のメーカーで修業させていただき、未だに社長にかわいがってもらっています。最近は褒めていただけるようになりました。
気仙沼のシャーク 柔らかい素材で一方方向にだけ延び易い。
革製品は使い込んでいくと味がでてくる
毎日好きな仕事で、幸せと言えば幸せなのですが、あくまで仕事です。それが苦労でもあります。決まった時間内に納めないと合わない。いつも時間を越えてやってしまう職人の自分と、商売的に成り立たないと言う経営者の自分との間にいます。
お客様が工房に持って来てくださる時に、ああ丁寧に使ってくださっているのだなと一番の喜びを感じます。僕が作った鞄が、いつの間にかその人のものになっているのですね。革製品は使い込んでいくと味が出てきます。油分を足し、修理して長く使えますので、何十年、二代は使っていただきたいと思います。
牛革の手縫いも得意分野ですが、一番難しい技法にクロコダイルの継ぎ合わせ「ハギ」があります。時間を掛けないと習得できません。大量生産ではなく一個一個作るので、そこに時間を掛けられます。この分野は自慢しても良い技術かなと思っています。
使い込まれた道具 地道な手作業から丁寧な革製品が生まれる。
お客様の方がマイスター認定を喜ぶ
マイスター認定の制度は、ものづくりをしている人たちに光を当ててもらえ、とても良いことだと思います。認定された理由は、いろいろな革の素材をいろいろな仕立て方で作っている、扱っている素材の種類は都内で一番多いつもりで、そういうところではないかと思っています。マイスターに認定されて、お客様は増えました。お客様から区報を見ましたとか言ってくださいます。僕自身よりもお客様の方がマイスター認定をとても喜んでくださっています。
工房のある神楽坂は好いですよ。この前、朝の掃除をしている方に15人くらい会いました。自分たちで意識的に清掃をやっている町という印象があります。また、路地が多く車が入ってこないので、外で植物を育てている家が結構あるのですよ。綺麗だし季節も感じられます。近所の人たちも皆さん気にしてくださって、新年会があるから行きましょうとか、花見をやるからと声を掛けてくださいます。
工房 作業場とお客様から注文を相談するための見本も並ぶ。
気分転換になるので料理を作る
これからも、仕事を淡々と続けていければ良いなと思っています。大きく儲けたいということではなくて、注文をくださる方にメンテナンスを含めてお返ししていけるのは、長くやっていくことだと思っています。それがとても重要なことだと感じています。
革製品をやる人方は増えています。最低何年か修業しないと作れるようにならないので、諦めないで続けてもらいたい。丁寧に作りましたというだけではお客さんは付きませんから、そこを考えて頑張ってもらいたいなと思います。
すごく地味なんですけど、気分転換になるので料理を作るのですよ。家族のために週一回晩御飯を作るとか、その程度なんです。上手にできれば子供たちが喜んでくれますし、また、作ってと言われます。具材をざっくり切るものを、ぴったり切っちゃうのですよね。仕事柄でしょうか。
床の革 時間と共に変化する様子を調べる目的も。
……お会いしたのは、実に几帳面な職人さんでした。革のカットも目分量で正確に 1mm、2mm、3mmとこなし、ものを置くのもきちっと。一見すると機械で行ったような正確な縫い目も、一針ひと針が絶妙に力を加減した手縫いの仕事。正確さも丁寧で長く使える革製品作りの秘訣でしょうか。長く使える逸品を作っているからこそ、自分の作った製品を大切に使い込んでくれるお客様と会うのが最上の喜びというのが良く理解できました。
鮎澤 剛 (あゆさわ つよし) さん業種: 革製品製造
工房: 鮎藤革包堂
住所: 新宿区筑土八幡町5-12 SKビル1F
電話/FAX: 03-3267-0409
営業時間: 14:00~19:00
定休日: 日月火
ホームページ: ⇒
鮎藤革包堂 写真・文 しんじゅくノート編集部 取材撮影 2015年5月12日
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