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新宿ものづくりマイスター 技の名匠

【桐箪笥製造】 松本 義明さん

平成22年度認定

2015/02/09

100年使える和の家具、桐の魅力を伝えるマイスター

桐箪笥製造 松本 義明さん
桐箪笥製造 松本 義明さん
 タンスの神様と言われた松本朝之助が1911年(大正元年)に四谷に創業した「箪笥の松本」。その3代目で現代の技の名匠「新宿ものづくりマイスター」に認定された松本義明さんにお話を伺いました。

 江戸時代に誕生した桐箪笥(きりたんす)は、衣類の保管に適した湿度を保ち、虫が付き難く、水害や火災に強いのが特徴。また、30年くらい経ったら表面を薄く削って2回はリフォーム可能。100年使えるのも桐箪笥の魅力です。

 「箪笥の松本」では、材料の選別から木地の完成、組立から仕上げまでを熟練の職人が手作業で作っています。昔ながらの桐タンスから洋風の生活にマッチした新作も手掛け、桐の魅力を広く伝えています。

1950年(昭和25年)生まれ。1911年(大正元年)創業の「箪笥の松本」代表。伝統的な桐箪笥の製造技術を継承。初代考案の着色技術「やしゃ砥粉仕上げ」を日本全国の職人に指導。2010年(平成22年) 新宿区「新宿ものづくりマイスター(技の名匠)」に認定される。現在 東京商工会議所新宿支部評議員、四谷間税会副会長

兄が商社に入ったので、私が家業を継ぐことに

……桐箪笥製造の仕事に就いたきっかけをお教えてください。

 最初、この仕事に就くとは思っていませんでした。兄(長男)が商社に入ったので、次男の私が家業を継ぐことになりました。大学を出て24歳から6年間、修業としてある家具店で販売と商品管理などの仕事を務め、30歳でうちの会社にきました。あのころは職人さんとのコミュニケーションに苦労しました。何しろ、16-7歳からのたたき上げの昔ながらの熟練の職人がたくさんいましたからね。お前みたいな小僧に何がわかるかというものですね。
良客に恵まれた四谷に1911年(大正元年)に創業した「箪笥の松本」
良客に恵まれた四谷に1911年(大正元年)に創業した「箪笥の松本」

桐箪笥は100年持つ 天保や元治の箪笥も持ち込まれる

……苦労されたこと、なぜ続けることができたのでしょうか。桐箪笥製造の魅力を教えてください。

 苦労というとはっきりしています。需要の減少に苦労しています。買う方が年々減少してきています。なぜ続けることができたかというと、良いお得意様に恵まれてきたからです。初代が四谷のこの場所でショールームを早くに構えてくれ、良いお得意様を探してくれたことが一番大きいですかね。三越さんとは1912年(大正2年)から100年以上やっています。

 桐箪笥製造の魅力は、自分の手で原木を商品に変えるということが一番の魅力でしょう。そして、長く使ってもらえることも魅力。桐箪笥は100年持ちます。今も昭和の初期や戦後に作られた箪笥の削り直しの依頼がいっぱい入っています。この前なんか天保(1830年~)や元治(1864年~)頃の箪笥がきました。
高級な桐箪笥や商品が並ぶショールーム
高級な桐箪笥や商品が並ぶショールーム

マイスターに認定され信用度が増す 責任も大きく

……マイスターに認定された理由、認定されて変化したこと、新宿区でのご活躍について教えてください。

 仕上げと引き出し調整が卓越している、経験年数、後進への教育を評価いただいたようです。初代が考案して全国に伝授していった着色技術「やしゃ砥粉仕上げ」は、今も日本各地の職人に指導しています。

 新宿ものづくりマイスターに認定され、お客様からの信用度が増しました。商売に直結しています。認定されマイスターになったのだから、より技を向上させなければいけない。責任が大きくなりました。

 初代が四谷にショールームを構えてくれました。この場所は甲州街道沿いで人通りが多く、近くに番町や麹町という高級住宅地があります。良い客層のお客様がたくさんいらっしゃる。良い場所にショールームを構えてくれたことに感謝しています。
丹精込めて作り上げた桐箪笥の引き出しの精密な仕上げ
丹精込めて作り上げた桐箪笥の引き出しの精密な仕上げ

仕事では、和の生活の良さを伝えたい。 趣味では、47歳からバイクレースに参加

 希望はいっぱいあるのですよ。大きな希望は和の良さを分かってもらいたい。和食は世界遺産への登録ということもあり話題になっていますが、和の生活はまだまだ良さが伝わっていない。和の住宅、和の着物にもっと馴染まないといけないと思います。それが大きな希望ですね。小さな希望は「箪笥の松本」から商品を買ってもらうことですね。

 倅が後継者ですがメッセージは山ほどあります。木のことをもっと知って好きになって、もっと勉強してもっと頑張って欲しいと思っています。

 趣味というと車とバイクです。車はトヨタ2000GT、トヨタスポーツ800、フェラーリに乗っています。今、バイクはノートンコマンドやカワサキW650と3台しかないのです。昔は14台持っていました。イタリア、ドイツ、イギリスとみんな向うの物ばかり、BMWとかドゥカティとかに乗っていました。47歳からバイクのレースに参加しています。もう17年目になります。やりたくてしょうがなかった。あとはスキーとカラオケですね。最近スキーはあまりやらないのですけどね。
ロードレース仕様の愛車ノートンコマンド
ロードレース仕様の愛車ノートンコマンド

……ちょっとシャイでお洒落で真面目。しかし、バイクのロードレースに参加する情熱の技の名匠。工房を見学させていただくと、桐箪笥が並ぶ、その片隅が秘密基地。レーサー仕様のバイクが隠れていました。仕事も真面目に、遊びも真面目に人生を謳歌されている様。いつまでも元気で商売繁盛に和の住宅の発展に寄与されることを願っています。

 松本さんに桐箪笥づくりの技を学び、その技法で木目の美しい桐の文箱を作る新宿区主催の体験型教室も記事にさせていただいています。その様子はこちらからご覧いただけます。
桐箪笥づくりの技を学ぼう ~体験型教室~(新宿チビたび散歩)
桐箪笥製造 松本 義明さん
桐箪笥製造 松本 義明さん
松本 義明 (まつもと よしあき)さん
業種: 桐箪笥製造
工房: 株式会社 箪笥の松本
住所: 新宿区四谷2-10-6
電話: 03-3355-1151
営業: 午前9時~午後6時 / 定休日:水曜日
ホームページ: ⇒箪笥の松本
写真・文 しんじゅくノート編集部 取材撮影 2015年2月3日

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