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新宿ものづくりマイスター 技の名匠

【活版印刷】 高岡 昌生さん

平成21年度認定

2014/11/26

世界が注目するこだわりの文字のマイスター

活版印刷 高岡昌生さん
活版印刷 高岡昌生さん
 印刷業界は40年くらい前に経済性、効率性を求めて活版印刷から写植へ移り、現在はコンピュータ化が進んでいます。500年の歴史の活版印刷はいずれ衰退する運命。その神髄である印刷活字を読みやすく美しく並べる「タイポグラフィ」をお父様から学び、こだわりの活版印刷を続ける新宿ものづくりマイスター 高岡昌生さんにお話を伺いました。高岡さんは英国王立芸術協会フェローに認定されるなど世界に注目されています。

井上嘉瑞(よしみつ)の印刷工房から始まる活版印刷会社「嘉瑞工房」(かずいこうぼう)社長。1957年(昭和32年)生まれ。英国王立芸術協会(RSA)フェロー、ドイツ・モノタイプ社アドバイザー、ドイツ・ライプチヒ市印刷技術振興協会会員、 新宿ものづくりマイスター「技の名匠」。著作 『世界の美しい欧文活字見本帳 嘉瑞工房コレクション』(グラフィック社 2013年刊)、『欧文組版 組版の基礎とマナー』(美術出版社 2010年刊) など。

父のオンリーワンに憧れて

……活版印刷について、またこの仕事に就いたきっかけをお教えください。

 名刺、招待状、レターヘッド(便箋)、ディプロマ(賞状)などの作成が主な仕事です。どちらかというと欧文の招待状や名刺が多いです。父の代に海外から評価を受けていましたが、私の代になって少しずつですけれど評価が上がってきました。

 祖父は和製本の職人で多角経営を考え、父を印刷屋に丁稚奉公に出しました。イギリスに渡ってタイプの研究をされていた創始者の知識と経験に父が感銘を受け、唯一の内弟子のような形で教えを受けました。会社組織になったのは昭和30年で、来年2015年に60周年になります。

 この仕事に就いたのは父がやっていたからです。大学を出てから4年ばかりサラリーマン生活をして父の会社に入りました。活版印刷に興味があったということではなく、オンリーワンに興味があったのでしょうか。美術大学を卒業した大手企業のグラフィックデザイナーたちが小学校しか出ていない父を先生といって訪ねてくる。父から「タイポグラフィ」の教えを乞うているわけです。サラリーマンをやっていれば、私じゃなければいけないわけではない、ここにいれば父でなければいけないわけです。
shinjuku (新宿)と版組された活字
shinjuku (新宿)と版組された活字

モノ作りは大変さもあるが喜びも

……苦労したこと、ものづくりの喜び、なぜ続けることができたかをお話ください。

 鉛の活字が5トン位はあると思うのです。書体CD1枚で済むようなものが、物理的には膨大な設備が必要です。しかも、活字は自由に手に入らない。活字を整理して維持するのはすごく大変なことです。また、コンピュータでは微妙な大きさの文字もできますが、活字は限られるので10ポイントの上は12ポイントになります。不自由の中からどうやったら良く見せるのかという集中力を僕は活版から習ったんですね。

 お客さんの気持ちを乗せる箱船を作っているつもりです。名刺という箱船で気持ちを渡す訳です。ですから、お客さんから喜びを聞くのはすごく嬉しいです。レターヘッドをプレゼントされた大学の恩師が米国の学会で手紙を書いていたら、嘉瑞工房で作ったのだろうと言われてびっくり。本当に良いものプレゼントしてくれたと感謝されたそうです。

 ゼロ秒で届く電子メールではなく、自筆で手紙を書き、翌日に届き、封を開けなければならない。その行為自体に意味がある。モノじゃないとそれは伝わらない。今でも欧米の一流企業は最初の挨拶にレターヘッドを使う。21世紀の今でも仕事を続けられるのは、こういうことを大切に思ってくれる人たちに支えられている。モノ作りは大変さもあるが喜びでもあると思うのです。
著作「欧文組版~版組の基礎とマナー~」(グラフィック社 2013年刊)
著作「欧文組版~版組の基礎とマナー~」(グラフィック社 2013年刊)

美術大学で講師や印刷博物館のアドバイザーも

……マイスターに認定された理由、新宿区でご活躍していることについてお聴かせください。

 たまたま活版印刷という仕事をやっていて、企業セミナーや美術大学などでタイポグラフィの講師や印刷博物館のアドバイザーなどもやっていたのでマイスターに推薦いただいたのだと思います。

 新宿区は印刷業が地場産業なので、同業者に相談したり、逆にセミナーを依頼されたりします。近くに製版会社や製本所も多い新宿区は便利です。この間も新宿区の体験型教室で活字屋さんに行ったのですけど、活字屋さんは都内に2軒ほどしかなく、その内の1軒が新宿区にあります。
今でも現役のハイデルベルグ社製の活版印刷機
今でも現役のハイデルベルグ社製の活版印刷機

日本一ワークショップをやっている

……後継者、これからのこと、メッセージなどがありましたらお聴かせください。

 活版印刷がブームで学生からはニューメディアと言われて驚きました。500年前からやっているのですけどね。古い活字を使ってインキでべちょべちょにして、紙に必要以上に押し付けて、これが活版印刷ですでは明日がないと思います。なぜ活版なのかという哲学がなければやめた方が良いと思うのです。

 後継者といえば活版印刷で学んだタイポグラフィのセミナーをやったり、学校で教えたりしています。ワークショップをやらないのかと言われるのですが、日本一やっていると思っています。印刷博物館で活版印刷を体験するプログラムを考えるお手伝いをしたり、インストラクターの教育をしました。あそこに年間何千人と来ているわけです。だから間接的ですが日本一ワークショップをやっていると思っています。

 欧米には芸術と工業の間にあるクラフト、工芸という部分が残っている。すごくうらやましい。活版印刷が生き残るとしたら、こういうクラフトという部分で残していかなきゃいけないと思うのです。
「活版印刷を学ぼう」体験型教室より (2014年10月撮影)
「活版印刷を学ぼう」体験型教室より (2014年10月撮影)

……穏やかで謙虚、しかし、活版のことになると次々と面白い話が続きました。印刷は哲学やナショナルトラストの話などはページの関係で割愛させていただきました。示唆に富むお話や感動のお話も端折った掲載になってしまいました。お父様から学んだ技術と精神をご自身も後進に伝えよう、お父様を越えようと活躍されている姿が印象に残りました。

 高岡さんが講師を務めた新宿区主催新宿ものづくりマイスター技の名匠に学ぶ「活版印刷を学ぼう」体験型教室の様子はこちらからご覧いただけます。
活版印刷を学ぼう ~体験型教室~(新宿チビたび散歩)
高岡 昌生(たかおか まさお)さん
業種:活版印刷
工房:(有)嘉瑞工房
住所:新宿区西五軒町11-1
電話:03-3268-1961
FAX:03-3268-1962
営業時間:9:00~6:00/定休日 土・日・祝祭日
ご来社の際は必ず事前に電話などでご連絡ください。
ホームページ:活版印刷 有限会社 嘉瑞工房 - The Kazui Press -
写真・文 しんじゅくノート編集部 取材撮影 2014年11月6日

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